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貧女の愛
人生というものは、楽しいよい思い出、悲しい思い出、苦しい思い出の連続の、精神的ドラマと言ってよい。しかし、嫌な思い出というものだけは、誰人も早く忘れ去ってしまいたいものだ。たとえば、みずからの醜いエゴイズムで、心ならずも相手を傷つけてしまったときなどは、自分が嫌になり、一日も早く記憶の底から消え去ってもらいたいと思うものである。これらの自己嫌悪の感情を乗り越えていくには、詮ずるところは、小さな自分を乗り越えて、大きな境涯を開いていく努力以外にはなさそうである。
しかし、それと違って、嫌な思い出であったとしても、絶対に忘れてはならない種類のものもある。戦争などがそれである。私も第二次世界大戦で、一家の柱であった、いまだ独身の長兄を、二十六歳で亡くし、大空襲の火の中を逃げまどい、老いたる母に頼りながら、苦難の時代を乗り越えてきた一人である。すべての人の心はすさんでいた。そして、エゴとエゴが、あちらにもこちらにも、火花を散らすような、地獄の人間界であった。この戦争というものの悲惨な体験だけは、絶対に風化させてはならじ、と心にひめている昨今である。

「涅槃経」という経典に”貧女の愛”ということが説かれている。
------ある所に貧しい女人がいた。天涯孤独の身で、家すらない。病苦や飢えに責められながら、乞食をしながら諸国をさまよう。
とある客舎で父なし子を産む。客舎の主人は貧女を追い払う。産後間もない身でありながら、嬰児を抱き他国へ向かう。その途中、風雨激しく寒さも厳しい。蚊や虻、蜂、毒虫のたぐいが容赦なく襲いかかる。河を渡ろうとして自ら溺れかかるが、その期に及んでも子供を手放そうとしない。ついに母子ともに溺れ死んでしまったという。

釈尊はこの例をとおして、正しい法を護持する精神は、死に臨んでもわが子を抱きかかえていた、貧女の愛念の心のようでなければならない、と説いている。無私の愛、無償の愛といってもよいだろう。そうした捨て身の生き方には、計算ずくではないある人生の真実、日蓮大聖人が「母の子を思う慈悲の如し」と仰せのように、仏法で説く慈悲の精神にも通ずる深さがうかがわれるようだ。
私が「銃後の婦人」を読んで感じたのも、そのことであった。


母親の強さといえば、私は、スタインベックの「怒りのぶどう」を思い出さずにはいられない。
このアメリカの世界的な名作は、ご存じの方も多いに違いない。
生活の重みに耐えていくことができなくなった父親が、もう一家も終わりだ、と愚痴をこぼすと、”おっかあ”と呼ばれる逞しい母親は、「おわっちゃァいないよ、お父さん」と、厳しくたしなめた。男というものは、断崖の節ぶしで生きていくものである。しかし、「女ってものは始めから終いまでが一つの流れなんだよ、川の流れみたいにね、小さな渦巻があったり、小さな滝があったりするけど、それでも、川はどんどん流れていくのさ。女はそういう風にものを見るんだよ。あたしたちは死に絶えやしない。人間は続いて行くんだよ----」
ここに母という、女性という偉大な哲学の叫びがあった。この文章を読むたびに、私は母というものの偉大さを、まことに絶妙の文章に残していった、スタインベックの深い洞察に、喝采を送りたいのである。

この中で、池田先生は
上記の「怒りのぶどう」スタインベッグ 以外にも あと2冊
赤貧の農民生活を描いた、長塚節の「土」。
戦争体験の悲惨さを、後世に残しゆくために、創価学会婦人部反戦出版委員会が編纂された「銃後の婦人」。
の感想も下記のように、寄せられていました。

「土」では、夏目漱石が書いた序文、「余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座が銅だのと言い募る時分になったら、余はぜひこの「土」を読ませたいと思っている」と述べたが、私も同感である。とくに戦争を知らない世代が増えているだけに、その感が強い。 

「銃後の婦人」 では、戦中戦後の困苦が語られており、生々しい平和の叫びは、30年余の歳月をまったく感じさせず、リアルそのものである。老いも若きも、たまにはこうした本を手にして、戦争と平和というものを、膚で感ずる必要があると思っている。
それにしても、銃後の婦人たちはすさまじい。

つれづれ随想より 一部抜粋



池田先生が、3冊もの本を引いて教えてくださったこと。
母の偉大さ、昔も今も変わらない 子供へ注ぐ無償の愛。
それが、平和へ続く道となる。
反戦への強き思い、母の子を思う気持ちを察すればわかりますね。
忘れてはいけないもの!

先生の思いをもっと知るべく、
紹介してくださってる、本を読んでみようかと・・・
少し調べましたが、
「怒りのぶどう」上巻468p 下巻448p キツーイ(汗)
「土」難しいですね^^;
そんなことを言っててはイケませんが・・・<(_ _)>
いつか、読んで理解できる自分になっていけるよう努力します!



http://www.sokanet.jp/movies/heiwa/jakhcj0000001j4q.html



お気づきの点がございましたら
sakura8sakura@excite.co.jp へ、よろしくお願いします。
<(_ _ )>




by sakura8sakura | 2014-11-18 00:25 | 説話

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