2015.11.8 トルストイ 『イワン・イリッチの死』 読了
一人の平凡な人間であるイワン・イリッチは社会的な自尊心や社交的な虚栄心が満たされることそこに幸福があると、自身が思い描いた通りの人生を歩んでいたはず…だが病により近づいてくる死と直面したとき彼の内面から湧きあがる苛立ちや恐怖からそれらが彼を癒すことはできなかった。
ただ、ゲラーシムの振る舞いだけが彼を慰めた。それは何だったんだろう… 心の声に耳を傾け自問自答する。最期の時イワン・イリッチはハッキリとわかった。本当に大切なものは何かを。
親友であるピョートル・イワノーヴィッチも同じ一人の平凡な人間である。
『死人はすべての死人と同じように、いかにも死人らしく…すべての死人の例にもれず、彼の顔は在世の時よりも美しく、だいいちもっともらしかった。その顔には、必要なことはしてしまった、しかも立派にしてのけたとでもいうような表情があった。のみならずこの表情のうちには生きている者に対する非難というか注意というかそんなものが感じられた。』
ピョートル・イワノーヴィッチは、棺の中に横たわるイワン・イリッチを見て無意識的(直感)に感じ取っているのだろうなと。だけど、生前のイワン・イリッチと同じように、そこから意識的に目をそらしてしまう…
ここが、とっても気になりました。無意識と意識。この場合だと無意識が正しい判断をしているってことになるかな…
トルストイはそれを言葉にしていました。『自分でもはっきりしないうちに、いつものような考えが助けに現れた』無意識に感じたことが真実であり、それを否定するために自分の意識で解釈してしまう。
イワン・イリッチが最期の時を迎えるまでの3日間の、凄まじい内面から湧き起る無意識と正しいとこれまでの生きてきたことの意識(意思)の攻防?
死ぬ2時間まえのに訪れた真実を悟ったとき、急に静かになった。その真実「本当のこと」を実行したとき、イワン・イリッチは死の恐怖から放たれた。
その真実「本当のこと」、法華経の心。慈悲。心から他者を思い遣る心…。
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by sakura8sakura
| 2015-11-13 13:00
| 読書