↑ これ! 図書館に入ってすぐの所でお出迎えしてくれてた本
目!惹きますよね!!!
手!伸びますよね!!!
即決!お借りしますよね♪
これ、小説なんです。
SFマンガのアイデアはいろいろあるのだけど、連載をいくつか掛け持っていて時間的にこれ以上描けない。
では、文章ではどうだ。という話になったそうで。
季刊誌なのでこっそり書けばいいかな?… と、木下司のペンネームで1994年から1995年にかけて掲載された4回分を単行本化されたものでした。
特別企画インタビュー2017年5月12日(萩尾家にて)に、こう言った裏話が巻末に収録されてます。
うふふ、既読作品からは見えない萩尾望都さんのアバウトな一面ににんまり。
そして、やっぱり、世界に起こっている問題にしっかりと目を向けてる。
過去から現在そしてSF視点でそのずっと先に起こるかもしれない事への発想・着眼点に感嘆します。
さて、タイトルでもあるピアリス、表紙の女の子の名前。
読み終えて、なぜ『ピアリス』なんだろう…?(感想は置いておいて^^;)
ピアリスは5歳の時に別れ分かれになったユーロという名前の男の子との双子で、お話は(未完だけど)4章をユーロお話から始まり交互に2章づつ描かれている。
ならば『ユーロ』でも『ユーロとピアリス』でもいいんじゃない?などと…( ̄∇ ̄)ただ私のセンスがない!だけかも?
未来視出来る能力をもつユーロと過去視できる能力をもつピアリス
人や物から過去これまでに起こったことが分かるということは、歴史(伝書・遺物)から学ぶことが出来るいうことではないだろうか。
時間軸で考えると、現在生きているピリアスを描いているところが現在であるからかなぁ?
一番大事にしなくてはいけないところだからかな。
戦争・地震・暴力・虐待・差別・難民・貧困・孤児・臓器売買…
世界に起こっていることに目を向けて!と警鐘を鳴らしているように思えた。
近頃、同じようなテーマの本と不意に出会う
―― 十歳になってから少しずつぼくは、“時間”が理解できるようになった。(中略)ぼくは十歳の子供として、突然ここに存在したのではなく、去年は九つで、一昨年は八つだった。十年前に生まれて、一年ずつ齢をとっていったのだ。(Ⅰユーロ シモン修道院)
ただひとつこわいのは、もう二度とユーロに会えないかもしれないということだけだ。願いに力があるのなら、あたしは一番にこのことを願おう。いつかユーロの会えますように。(Ⅱピリアス「9×7」)
セルは図書館から、様々な本を持ってくるように言った。それは一二・三のぼくが読むのは難しすぎる研究書や歴史書だったが、セルはその本を読んで内容を説明し、ぼくが理解してるかどうか反復させ、質問し、ぼくにも質問させた。
それは、天文、化学、文化、航空学、などなどを引っくるめた、地球人の歴史、エトラジェン人の歴史、アムルー人(ぼくのことだ)の歴史、ムウーン(今いる惑星のことだ)の歴史などなどだ。(中略)「この知識は今すぐきみの役には立たない。だが、私が死んだ後、おそらくきみは統一的な勉強をするチャンスに恵まれることはないだろう。五年間でやる勉強を二年でやろうというのだから、きみも苦しいだろう。だがこの勉強は、きみがこの後、様々な出来事に出会ったとき、その出来事を判断する情報を提供してくれるはずだ。(Ⅲユーロ カルカーシュの予言者)
「私が死んでも、勉強は続けなさい。ラジオは毎日聞きなさい。新聞が手には入ったら読みなさいそれらを伝えているのは人間だ。その中から事実を読み取りなさい」(Ⅲユーロ カルカーシュの予言者)
「尊厳。どんな人でも、バカにされたり、辱められたり、軽蔑されたりしないことよ。人が人に敬意をはらう、人が人をいつくしむ、そういうことよ。」(中略)あたしが暴力を嫌いだと言うとそれは弱いから、女だからだと思っている。あたしはそうは思わない。弱さは恐怖に、恐怖が怒りに、怒りが暴力になるのだ。怒りは何かべつのものにとって代わらないのだろうか。あたしたちは、怒りと暴力の世界に生き続けるしかないのだろうか。(Ⅳピアリス 青いリンゴの木)
弟、アーイーへの愛だ。この愛のあり方には、勝ちも負けもない。あたしはそういうのが好きなのだ。でもカイジなら、その愛を守るために戦って勝つのだと言うだろう。ルーイーの言うように、郷土の神を愛すとき、他国の神は殺される。あたりまえのようだけど、でも、なぜなのか。それを考えると悲しかった。(Ⅳピアリス 青いリンゴの木)
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ各章で、心に残った台詞を抜き書いてみました。
胸が痛くなるシーンがたくさんあります。
ユーロは誰を信じればいいのだろう……孤独
ソルト(犬)がいてくれることになって少し心が和む
キースとガルガゴッダのうえに視えた深い闇のような空のビジョンは「9×7」の人びとなのか?
ピアリスは強い意志をもつ女の子だ
ダムダム・ママが、ケート先生がいる。
カイジとルーイーがきっと味方になってくれるだろう…
五歳のときにアムルー星の空港で別れ分かれになったふたりが再び出逢うとき、世界はどうなっているのだろう?
萩尾望都さんがインタビューの中で、当時描いていた構成では「ユーロとピアリスは再会する。」と断言している。「ちゃんとどんでん返しがあるはずなんです。」って!
ユーロもピアリスも大切な友だちを亡くしてしまって、絶望のなかどうやって光を見つけていくのだろう?
とても希望が持てそうにない状況で終わってしまっている本作…
未来を視て知っているユーロ。どんな再会が待っているんでしょう?!
ラストになってしまった台詞
「ピアリス!」とキルトが手をふる
悲しみや苦しみが、憎しみや暴力ではなく、愛に変わりますように。
連載途中で廃刊になってしまったので未完の作品。
もうちょっと先まで考えていたんですが ――ネタ帳がどこにいったのか……いまとなっては遠い霧の彼方です。誰か続きを書いてください。だ、なーんて……(^^;)
インタビューで語られた萩尾望都さんのお話から、自分なりに想像を膨らませてみるのもいいかもしれませんね^^
You've Got a Friend/Carole King
http://ladysatin.exblog.jp/21239344/
このblogの方が和訳している歌詞の思いがピッタリきました!
とても素敵ですよね♪
✿✿✿
お気づきの点がございましたら
sakura8sakura@excite.co.jp へ、よろしくお願いします。
<(_ _ )>
by sakura8sakura
| 2017-10-15 19:14
| 読書