『木を植えた男を読む』で学ぶ

『木を植えた男を読む』という本を読みました。
ジャン・ジヨノ『木を植えた男』という物語をもとにF・バックが映像化した内の62点のフィルム画像と仏語原文。高畑監督の訳、物語とジヨノの人物観の解説というか考察。F・バック氏との対談の様子が書かれている本です。



木を植えた男を読む

高畑 勲/徳間書店

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まず、フランス語の翻訳を?高畑監督が?って頭に???がつきました。
高畑監督は東大の仏文学出身でした。(大いに納得!)
全くもって無知な私です^^;



始めにフレディック・バックのフィルム画と共にフランズ語の原文が収められています。

そのあとに、高畑監督(敬意をもってあえてこう呼ばせて頂きます)が訳したストーリーがあります。
現実主義的な氏らしく、丁寧な訳注があります。



Si cette action est depouillee de tout egoisme, si l'idee qui lr dirige est d'une generosite sans exemple de recompense nulle part et qu'au surplus elle ait laisse sur le monde des marques visibles, on est alurs, sans risque d'erreurs, devant un caractere inoubliable.

もしそのおこないにいかなる利己心もなく、おこないに向かわせた考えが高潔無比であり、何の報いも求めなかったことが絶対確実で、しかもそのおこないがこの世に眼にみえるしるしを残したならば、そのときこそ間違いなく、忘れることのできない人物を目の前にしているのである。


generosite(ジェネロジテ)
訳注*1 高潔無比
作中3回使われていて、主人公の行為の性格を表す最も重要な語。
日本語にうまく対応する言葉がない。
高潔、無私無欲。
ただしストイックな面を強調するにではなく、自分の利益を犠牲にして何かを与えつづける心の寛さ。
献身、慈悲。
寛大が最もよく使われる訳語であるが、寛容と誤解されやすい。

訳注*17高潔さ
無私無欲。献身。

訳注*28無私無欲
献身。
献身と訳さないのは、フランス語には別に献身を表す語があり、ジェネロジテの意味を狭くしてしまう。





私は、『木を植えた男』という絵本は認識として知っていましたが、十分考察などしたことはありませんでした。一人の孤高な老人が、ドングリの種を荒れ果てた大地に植え続けたことで木が育ち大地は回復し、人びとは幸せな暮らしを手に入れた。そんなお話だったと記憶しております。




次に、寛大な嘘に秘められた真実と題して、高畑監督がなぜ『木を植えた男を読む』という本を書こうとされたか出版の経緯が綴られています。

森林再生の物語ということにひかれてアニメーションを見に行った私は、いままで学んで来たことが、見事に実証されてゆく姿をこの物語に見出し、まずそれが嬉しくて心が躍った。そしてこの希望と幸せを、現地の人だけでなく私たちにも与えてくれたこの偉人に心から感謝し、たとえ微力でも具体的に何かをはじめなければブッフィエに申しわけがたたないと思った。それほどこの孤高の羊飼いの行いは衝撃だった。

高畑監督は、このブッフィエ老人の行いに感動し尊敬したのだ。そしてこの偉人にたいしての感謝の思いや自分も何かしなければとの思いが湧いたのだ。
だが、後にブッフィエは現実には実在する人物ではなかったことを知り、一瞬でそれらの思いが崩れ去ったのだった。

この、アニメーションを作ったF・バック氏は制作中にこの事実を知り、大きなショックを受け一時は途方に暮れたという。


私がまず出版の経緯を明らかにしたのは、すでに他の訳書やアニメーション『木を植えた男』の解説書などでブッフィエが実在しなかったことを取り上げるか、暗示しているからにほかならない。


確かに『木を植えた男』は、1953年アメリカの編集者の「あなたがこれまでに出会ったことのある、最も並外れた、忘れ難い人物は?」に対する回答として書かれたものであった。
だが、事実を調査した結果、プロヴァンス高地の山村バノンの施設でブッフィエという人物が死んだことはなかったと判明しこの物語は嘘であるとされ、原稿の掲載は拒否された。
そこで、作者ジャン・ジヨノはこの原稿の著作権を放棄して万人に開放したした。
(一般的にはジャン・ジオノと表記していますが高畑監督はこう記述しています。声に出して読んでみるとなるほど!と思いました)
そのおかげで、このエルゼアール・ブッフィエの物語は世界中に広まり私たちも手にし読む事ができているのだ。そして、この物語は多くの国で森林再生の努力を励まし続けている。


高畑監督は、このような感動的な物語のあとにこのような解説をつける必要があるだろうかとの疑問に対して、『木を植えた男を読む』という本を書くことは矛盾しているかもしれないとの思いを吐露している。
それでも、書かずにはいられなかった高畑監督のおもいが伝わってくる。


ジヨノの先見性は明らかであり、あの時代の趨勢をみれば、この物語を実話と偽ってまで人の心に喰いいらせようとした危機感の深さ正しさを、今になって私たちは知ることができる。ジヨノはブッフィエのような人間が他にもいたから書いたのではない。居なかったからやむを得ず創り出したのだ。私はその意味で、『木を植えた男』が、私たちの不安をまぎらわす一服の清涼剤にとどまることをおそれる。たしかにこの物語は、砂漠でオアシスを見出したような深い安堵感幸福感を与えてくれる。しかし、ジヨノはこの物語によって、私たちに生き方を改め、現実を変えるために行動を起こすことをねがったのである。この、ジヨノの本来の意図を汲みとることこそ「木を植えた男」が実在しないことを知ってしまった私たちに課せられた、重い重い課題なのだと私は思わずにはいられない。




事実ではなかったが、この物語が読み手に与えた力、「行動しよう、してみよう」と、思わせるこの力は何だろう。
このエルゼアール・ブッフィエが読み手に働きかけるという行動がジャン・ジヨノの本当の思いであったであろうし、F・バックのアニメがもつ表現をつくる真摯な態度であり、高畑監督が目指し映画制作において実行してきたことなのだろう。 generosite(ジェネロジテ)



未熟な私の所感なので、きっともっと深い思考だとは思いますが…
高畑監督の思考過程というか考え方が読みとれます。
超!お薦めの本です(o^^o)



1987年公開『柳川堀割物語』をまだ触り程度ですが確認しました。
その地に住む人びとに現実的に行える一つのヴィジョンを示し、住民が自らの手で行ない、きれいになっていくことが嬉しく気持ちいいと感じる体験が持続していく要なのだ。
ドングリの種を植えるブッフィエは、私たち一人一人であるということ。



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対談当時の高畑監督 当たり前ですがお若いですね(´艸`)
この対談、一見の価値ありますよ!



『木を植えた男を読む』で、今回出会ったジャン・ジヨノ氏 と F・バック
お二人のこと、作品を知りたいと思いました。
これからも、学び自分磨きします♪



2011年に開催された フレディック・バック展のイメージソング


ダウンロードして聴きました♪
いい歌ですね。
ここでお聴かせできないのが残念!









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出典元 https://matome.naver.jp/odai/2139497431465074201




✿✿✿

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<(_ _ )>




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by sakura8sakura | 2018-05-08 11:42 | ジブリに学ぶ

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