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『 f 植物園の巣穴』から学ぶ


ジブリ映画 “千と千尋の神隠し” の主題歌ではありますが

今回読んだ梨木香歩さんの『f植物園の巣穴』を読んでいて重なって聞えてきます。


f植物園の巣穴 (朝日文庫)

梨木 香歩/朝日新聞出版

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 “千と千尋の神隠し” のなかで、千尋たちが道に迷って出会ったトンネル、その向こうにある不思議な世界への入り口であったように『f植物園の巣穴』では「うろの穴」がこの物語の主題であり梨木さんが意味する自分の内面への世界へいざなう入り口なのだろう。
「道」は丘の上に生えている大木のうろの前から始まっていた。
そのなかで、自分では気づかなかったことをさまざまなものとの出会いによって気づくことができた。そしてまた、その「穴」から現実に世界へ帰ってくる。この「穴」というもののおかげで現実には見えない世界にスムーズに入っていけるのだ。



また、主人公、佐田豊彦の歯の「穴」や以前千代と住んでいた家の庭にあった白木蓮をK植物園に提供したためにできた「穴」。
それらは「心の痛み」を表す。



 いつも何度でもの歌詞

♪呼んでいる 胸のどこか奥で♪ 

♪海の彼方にはもう探さない
輝くものはいつもここに
わたしのなかに見つけられたから♪





 (ふと、思い当たって)そうだ、このような時が好機というものであると感じるとき。(P24)

 突然啓示のようにその考えが閃いた。(P86)

 一つの決断の背後には本人すら忘れ去られていた様様な動機がねむっているものなのかも知れぬ。(P52)

 ―― 痛いのは心なのでしょう。 突然、私の身の内いっぱいに声が響いて心底たまげた。(P54)


どこかから聞える声、それは自分の中から聞えてくるのだ、その声に従って歩んでいく。
そんな風に感じられる場面に出会うたびに私の心音は大きく鳴り鼓動するのだ!
ああ 梨木さんもそういう感覚を感じているのだと。





あるときは稲荷らしきものの声だったりするのだけど、それは佐田豊彦自身の内面から聞えてくるものということなのだ。
だって、それは うろの穴の中に落ちて気を失っていたときに体験した「千代を探す」不可思議な物語なのだから。

小さな頃の体躯になった豊彦と「坊」とが一緒に「千代を探す」旅は、豊彦が姉やの千代の不運な出来事を改めて認識するためにその当時の豊彦になって生き直した旅でもあり、妻の千代の胎内にいた頃の「坊」が父に名前をつけて(認識)もらった旅でもあったと思う。
カエルのような顔、水生動物のような身体から成長する「坊」、豊彦と言葉を交わすごとに成長していくその様子は、実現できなかった親子の触れあいであり時間だったのだろう。

その中で、豊彦自身が幼い頃から知らず知らずのうちに自身を覆い纏っていた思い込みや一般常識なるものを削ぎ落としていく様子にも感動した。
無意識に自分を縛っていた自分、その縛りを解くことができるのもまた、自分なのである。


「一般常識!」と、それだけで判断することに落胆の体で現す女給(P32)
何度も出てくる「訊く」って言葉。
「訊く」ってことは大事だよ!って梨木さんからのメッセージだと(o^^o)


「穴」「川」「げろっぱ」「カエル」「歯」「乳歯」「三人の千代」「靴」「草履」「ウェリントン・ブーツ」……
あげれば切りがない点と点、物語の中を伏流線のように張り巡らされた梨木さんの思想が、多様な知識に絡ませながら編み込ませたひとつの作品。そんな織物のようなものを鳥瞰虫瞰しながらじっくりと観賞したような気がしています。

織物といえば、「絵巻」が浮かんだ。
始まりから終わり、時が流れるように描かれる、ころころと流すように広げた図が浮かぶ。
くるくると巻き収めれば幾層にも重なる。
滔々と流れ連なる歴史を表わすにはとてもいいものだなぁと (*˘︶˘*)


淀みない川の流れ、その流れに沿って進む(生きる)。
それは、いたって自然なことで…
その自然なことをありのままに認識できる五感を研ぎ澄ますことって大事ですね。
四季の移ろいを風や匂いで感じ、綺麗なものを、ああ綺麗だ!と感じ。
虫や鳥、草花といった生きものからも感じたい、喜びや痛みも……不思議にも。
そんな思いを強くしました。





「月下香」

ちょっとビックリ!
先の記事で紹介した♪花の匂い♪ に導かれるんだよな~って (*´∀`*)


届けたい届けたい 届くはずない声だとしても あなたに届けたい
「ありがとう」「さよなら」言葉では言い尽くせないけど この胸に溢れてる
花の匂いに導かれて 淡い木漏れ日に手を伸ばしたら
その温もりに あなたが手を繋いでいてくれているような気がした
信じたい信じたい 人の心にあるあたたかな 奇跡を信じたい
信じたい信じたい 誰の命もまた誰かを輝かす為の光
“永遠のさよなら”をしても あなたの呼吸が私には聞えてる
別の姿で同じ微笑みで あなたはきっとまた会いに来てくれる



「坊」こと「佐田道彦くん」

涙、出ちゃったよ!








✿✿✿

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by sakura8sakura | 2018-05-29 00:08 | 読書
心に響いた歌




dヒッツでミスチルの曲を聴いていた

大切なこと

信じること そして、ありがとう。











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by sakura8sakura | 2018-05-22 07:05 | Music
東山魁夷せとうち美術館(2018.4.17)

4月17日に行ってきました!



あ~もう忘れてしまいそうなくらい(汗)
書きとめたメモを見ながら振り返ります♪



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春の特別展 絵はがき5枚セット&入場券
2回目の来場スタンプ♪



1F 鑑賞

ぽこぽこと島々が浮かぶ おだやかな春の海と光
せとうち気分♪

森谷南人子や小野竹喬の絵は
のどかで あかるくて
昔ばなしの暮らしにいるような
あたたかさを感じる絵でした


南 薫造【日の出】
太陽が海に照りうつる
空の雲が照りかえす
漁民の生活がそこにある


佐竹 徳【牛窓オリーブ園】
オリーブの木だ!
奥に見える瀬戸内海と山なみ
緑なのに紫
青なのに紫



サシコドンザという衣服

「小豆一粒包める布」
端切れと刺し子
ものを大切にする日本人の心
その中にある美



ガラスのショーケースに展示されている
瀬戸内海の地図
世界之公園
西行松の表示を発見♪

以前読んだ白洲正子『西行』を開いてみた
白峯陵へ詣でるために訪れた西行を辿る白洲さん

四国には「松」のついた地名や人名が多いが
ここも「松山」の名にそむかず
至るところに赤松林がつづき
その向こうに瀬戸内海が見えかくれする眺めは
夢のようであった。




2F 鑑賞


平山郁夫の素描
【瀬戸内海大橋】
【瀬戸内海の小島】
この絵は1995年作のものだ

瀬戸大橋開通30周年にあたる今年
ヨチヨチ歩き出した長男を連れ
写真を撮ったあの日…
懐かしい想い出♪
その子も今年7月には30才 (/_・)/



岩倉 壽
【讃岐瀬戸】
うすい桃色の風景
春らしく柔らかく優しい

【小豆島の窓】
うすい緑色
曖昧に溶け込む一体感



吉田 博
光る海――木版画『瀬戸内海集』
【帆船】
朝・午前・午後・霧・夕・夜
6つのシーンを描いている

太陽の進む具合による光の当たり方
影、海面に映る帆船
肌に感じる気温も伝わってくるような色合い
どのシーンも美しく
その観察力に感服





大本命!東山魁夷の作品
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↑東山魁夷 風景遍歴Ⅱより

【暮潮】4点

(小下図A)
(小下図B)
作品
(大下図)

空のグレー
山脈の濃茶
流れる潮のグレー
その配色の多少
空と島 島と海
それらの境界を描く線
微妙な違いで雰囲気が変わるのが観てとれる

大下図は完成作品とほぼ同じサイズで少し小さめのもの

一枚一枚の絵と解説を読んだあと
並ぶ絵のセンター前に置かれた長いすに座って
厳粛な気持ちで鑑賞させていただきました。

作品を描く過程を想い眺めながら
作品に向かう画伯の姿勢に打たれました。



このコーナーに掲示されていた文章

塩飽諸島の櫃石島で私の祖父は代々暮らしていた。
この辺りの島々は古くから瀬戸内海の海運の中心地であった。
島の豪族は強力な水軍をもち
平家の昔から歴史の上に度々登場して
時には朝鮮、中国沿岸をおびやかした倭寇ともなった。
江戸時代になっても造船や繰船業が発達して
やはり海を舞台とする人びとであった。

私の祖父は維新の風雲急な時に島を離れて江戸に出てきた。
榎本武揚の知遇を得て明治になってからは
品川の船の周旋業をやっていた。
かなり盛んだったらしい。

(風景との対話「東と西」より)



【朝の内海】
遠景が美しい!
暮潮と同じ構図で描かれている↓
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今回の作品展の記念に選んで買った絵はがき♪






祖父のふるさと 魁夷のルーツ 瀬戸内海を思い描く。
「暮潮」は、祖父の故郷櫃石島を主題にし、岡山県鷲羽山から展望して描いています。
「潮の流れが水面に描く形に興味を持ったが、あまり、あからさまに見せずに、なんとなく神秘的な感じに出したいと思った」と、島の裾が右上がりに傾斜した構図には揺らぎが生まれ、まるで船上から見ているようなたゆたう感覚が生まれています。
最晩年に描かれた「望郷」は瀬戸内海に浮かぶ島をモチーフにして、祖父の故郷を思う気持ちがあふれています。
(本作品展パンフレットより)




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左奥に見えるのが沙弥島

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外から差し込んできた光で透き通る層が美しい




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あの日の感動が甦ってきた♪


次回は、第一期テーマ作品展(5/31~7/16)
生誕110周年記念
ひとすじの道/収録作品で辿る東山魁夷

楽しみ~!!!





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by sakura8sakura | 2018-05-20 15:33 | 芸術
『君が戦争を欲しないならば』から学ぶ

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4月、高畑監督の思想を知りたいと購入したブックレット
『君が戦争を欲しないならば』を読みました。

映画「風立ちぬ」の絵を使った『熱風』の表紙が脳裏に浮かぶ…

ジブリが発刊する小冊子『熱風』2013年7月の特集「憲法改正」
当時webでダウンロード印刷しファイルしたものを取り出し再び読んでみました。

憲法を変えることに反対する
宮崎駿・鈴木敏夫・中川季枝子・高畑勲が寄稿している。

歴史も政治のこともよく知らなかった私ですが
「憲法9条の改正」という言葉に危機感をもった!
コレがあるから平和な日本であることができたのに…
「戦争ができない国」から「戦争ができるようになった国」へ
自国の認識以上に、この平和憲法がある日本という重要性
日本が世界にアピールすることはソコでしょ!
そんな思いが湧いた寄稿文だった。
あれからもう5年の時が流れていたんですね。



宮崎監督は、『憲法を変えるなどもってのほか』と題して、日本人にはもともと基本的人権の根拠となる思想がない、この平和憲法があるからこそ日本国民は再び戦争に向かうことがなっかたのだと。
ロバート・ウェストール『“機関銃要塞”の少年たち』を読んで「あ、この人は自分の先輩だ」、自分がどういう質(たち)を持っているかということに気づいたという。
「自分の命よりももっと大事な大義があるんじゃないか」とか「そのために死ぬんだ」と思ってそっちの方へ、ガーンと行ってしまうタイプの人間です。

どういう質であるか… 大戦中、また、敗戦後にアメリカが恐れたのがこの日本国民の気質だったのだろう。
戦中、狂気とも思える行動であっても、正義感の衣をまとうとお国の戦略・命令に忠実に従うという…


鈴木敏夫プロデューサー(当時)は、『9条 世界に伝えよう』と題してこう言っている。
みんな戦いが好きですよね。自分が勝つ側に立つからでしょう。負ける側に立った途端に、やってられない、となる。
一兵卒の視点で想像してみるという想像力が欠けていると思う。
「人間の歴史は、殺し合いだ」その殺し合いが、だんだん残虐になったのが歴史だと。
人間はそういうことをするもんだなぁっていうのが、実際にあるわけで、その中でやっとたどり着いたのがこの平和憲法でしょ。すごい理想主義でしょ。人間がそこまできたってのは、すごいこと。僕はそう思いますけどね。


中川李枝子さんは、『戦争は怖い』と題し、1943年8才の頃の記憶を語っている。
戦争を体験した人の多くが今も自分の心身にありありと甦る恐怖。
学校にいるときサイレンが鳴れば授業は中止、先生の指示で退避訓練どおり行動した。
世界一優秀な少国民だ。「備えよ常に」「油断大敵」「勝利の日まで」「ほしがりません勝つまでは」―― どこからもポスターが少国民を見張っている。


『60年の平和の大きさ』と題して、最後に掲載されている高畑勲監督の寄稿文から抜粋

 私の憲法九条に対する思いは、これは全世界で実現すべき素晴らしい理想の旗であり、日本はこの憲法九条を外交の中心に据えるべきであると、いうことに尽きます。
戦争が国際問題の解決に役立たないで泥沼化するばかりであり、大国がばらまいた武器のはびこりすぎが局地紛争を深刻化していることは誰の目にも明らかです。
対テロ戦争なるものも完全に失敗しています。世界に核廃絶や軍縮や武器輸出の禁止を訴えるためにも、また、紛争は平和的手段で解決しなければならないと考える全世界の人びとの力を結集するためにも、憲法九条は大変大きな旗印になると思います。
要するに、日本のなすべきさまざまな国際貢献を貫く中心理念として、憲法九条は常に積極的にアピールしていくべきだと私は思います。
 ですから私は、憲法九条という、世界に向かって掲げたこの素晴らしい理想の旗を絶対に降ろすべきではない、と確信しています。

 世間には、「現実に自衛隊は存在するのだから憲法もそれに合わせたほうがいいのではないか」「条文を変えても、国会で個々の行動を決めていくのだから、そう簡単に戦争になんてならないよ」と考えている人もかなり多いことを知っています。そこで、ほんとうにそうかどうか、少し雑談させて頂きたいと思います。


 戦争ができないという憲法がある国だから、アメリカに従属していたにもかかわらず戦争に巻き込まれないですんだのではないか? 過去に侵略したアジアの国々との関係で過度の緊張が生まれなかったのではないか?
そういう事実を、しっかりと認識し直すべきだという。(趣旨)

この理想と現実の相剋があるからこそ、多くの人びとの知性は目覚め続けざるをえなかったし、ずるずる行かないための大きな歯止めになってきたのではないでしょうか。
理想と現実の相剋を、理想を捨て去ることによって解決しようとすることほど愚かなことはありません。
この歯止めを外せば、あとはただ最低の現実主義で悪い方向へずるずる行く危険性がまことに高いと思います。

民主主義、意見の違いを許す度量、あるいは人と違うことをする人間を認める度量、そのどれをとっても、歴史的に異分子を排除する、全員一致主義をとってきた日本。
多数派の中にいることで安心し「いじめ」を見て見ぬ振りする子供が多いことを見ても、現在もこの体質は全然変わってないと思います。

書かれている一文は、2006年ごろ、ねりま九条の会で話されてものです。



これが当時の日本国民の姿なのである。そこに自分の意思はない。
現代の我々はどうであろうか?




君が戦争を欲しないならば (岩波ブックレット)

高畑 勲/岩波書店

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 戦争末期の負け戦の果てに、自分たちが受けた悲惨な体験を語っても、これから突入していくかもしれない戦争を防止することにはならないだろ、と私は思います。やはり、もっと学ばなければならないのは、そうなる前のこと、どうして戦争を始めてしまったのか、であり、どうしたら始めないで済むのか、そして、いったん始めてしまったあと、為政者は、国民は、いったいどう振る舞ったのか、なのではないのでしょうか。(7p)



何かことが起これば、その時に湧いた感情を吐き出すかのように巻き起こるバッシングの嵐
同調する空気感、その危険性はとてつもなく大きいと今はわかる。
だからこそ、この本を読んだとき改めて自分の意思を確認した。
この日本という国に住してその立場で自分はNO!を言うことができるであろうか?
戦争行為に荷担することなく理想としている生き方を貫くことができるだろうか?
私が選んだのは、同調する空気感のなかに身を置かないことだった。
そして、自分の理想を語ることができる時にはその思いを語り、自分の意思で行動する。
その難しさをしっかりと胸に留めながら



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出典元 https://matome.naver.jp/odai/2139497431465074201




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by sakura8sakura | 2018-05-16 12:06 | ジブリに学ぶ
『木を植えた男を読む』で学ぶ

『木を植えた男を読む』という本を読みました。
ジャン・ジヨノ『木を植えた男』という物語をもとにF・バックが映像化した内の62点のフィルム画像と仏語原文。高畑監督の訳、物語とジヨノの人物観の解説というか考察。F・バック氏との対談の様子が書かれている本です。



木を植えた男を読む

高畑 勲/徳間書店

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まず、フランス語の翻訳を?高畑監督が?って頭に???がつきました。
高畑監督は東大の仏文学出身でした。(大いに納得!)
全くもって無知な私です^^;



始めにフレディック・バックのフィルム画と共にフランズ語の原文が収められています。

そのあとに、高畑監督(敬意をもってあえてこう呼ばせて頂きます)が訳したストーリーがあります。
現実主義的な氏らしく、丁寧な訳注があります。



Si cette action est depouillee de tout egoisme, si l'idee qui lr dirige est d'une generosite sans exemple de recompense nulle part et qu'au surplus elle ait laisse sur le monde des marques visibles, on est alurs, sans risque d'erreurs, devant un caractere inoubliable.

もしそのおこないにいかなる利己心もなく、おこないに向かわせた考えが高潔無比であり、何の報いも求めなかったことが絶対確実で、しかもそのおこないがこの世に眼にみえるしるしを残したならば、そのときこそ間違いなく、忘れることのできない人物を目の前にしているのである。


generosite(ジェネロジテ)
訳注*1 高潔無比
作中3回使われていて、主人公の行為の性格を表す最も重要な語。
日本語にうまく対応する言葉がない。
高潔、無私無欲。
ただしストイックな面を強調するにではなく、自分の利益を犠牲にして何かを与えつづける心の寛さ。
献身、慈悲。
寛大が最もよく使われる訳語であるが、寛容と誤解されやすい。

訳注*17高潔さ
無私無欲。献身。

訳注*28無私無欲
献身。
献身と訳さないのは、フランス語には別に献身を表す語があり、ジェネロジテの意味を狭くしてしまう。





私は、『木を植えた男』という絵本は認識として知っていましたが、十分考察などしたことはありませんでした。一人の孤高な老人が、ドングリの種を荒れ果てた大地に植え続けたことで木が育ち大地は回復し、人びとは幸せな暮らしを手に入れた。そんなお話だったと記憶しております。




次に、寛大な嘘に秘められた真実と題して、高畑監督がなぜ『木を植えた男を読む』という本を書こうとされたか出版の経緯が綴られています。

森林再生の物語ということにひかれてアニメーションを見に行った私は、いままで学んで来たことが、見事に実証されてゆく姿をこの物語に見出し、まずそれが嬉しくて心が躍った。そしてこの希望と幸せを、現地の人だけでなく私たちにも与えてくれたこの偉人に心から感謝し、たとえ微力でも具体的に何かをはじめなければブッフィエに申しわけがたたないと思った。それほどこの孤高の羊飼いの行いは衝撃だった。

高畑監督は、このブッフィエ老人の行いに感動し尊敬したのだ。そしてこの偉人にたいしての感謝の思いや自分も何かしなければとの思いが湧いたのだ。
だが、後にブッフィエは現実には実在する人物ではなかったことを知り、一瞬でそれらの思いが崩れ去ったのだった。

この、アニメーションを作ったF・バック氏は制作中にこの事実を知り、大きなショックを受け一時は途方に暮れたという。


私がまず出版の経緯を明らかにしたのは、すでに他の訳書やアニメーション『木を植えた男』の解説書などでブッフィエが実在しなかったことを取り上げるか、暗示しているからにほかならない。


確かに『木を植えた男』は、1953年アメリカの編集者の「あなたがこれまでに出会ったことのある、最も並外れた、忘れ難い人物は?」に対する回答として書かれたものであった。
だが、事実を調査した結果、プロヴァンス高地の山村バノンの施設でブッフィエという人物が死んだことはなかったと判明しこの物語は嘘であるとされ、原稿の掲載は拒否された。
そこで、作者ジャン・ジヨノはこの原稿の著作権を放棄して万人に開放したした。
(一般的にはジャン・ジオノと表記していますが高畑監督はこう記述しています。声に出して読んでみるとなるほど!と思いました)
そのおかげで、このエルゼアール・ブッフィエの物語は世界中に広まり私たちも手にし読む事ができているのだ。そして、この物語は多くの国で森林再生の努力を励まし続けている。


高畑監督は、このような感動的な物語のあとにこのような解説をつける必要があるだろうかとの疑問に対して、『木を植えた男を読む』という本を書くことは矛盾しているかもしれないとの思いを吐露している。
それでも、書かずにはいられなかった高畑監督のおもいが伝わってくる。


ジヨノの先見性は明らかであり、あの時代の趨勢をみれば、この物語を実話と偽ってまで人の心に喰いいらせようとした危機感の深さ正しさを、今になって私たちは知ることができる。ジヨノはブッフィエのような人間が他にもいたから書いたのではない。居なかったからやむを得ず創り出したのだ。私はその意味で、『木を植えた男』が、私たちの不安をまぎらわす一服の清涼剤にとどまることをおそれる。たしかにこの物語は、砂漠でオアシスを見出したような深い安堵感幸福感を与えてくれる。しかし、ジヨノはこの物語によって、私たちに生き方を改め、現実を変えるために行動を起こすことをねがったのである。この、ジヨノの本来の意図を汲みとることこそ「木を植えた男」が実在しないことを知ってしまった私たちに課せられた、重い重い課題なのだと私は思わずにはいられない。




事実ではなかったが、この物語が読み手に与えた力、「行動しよう、してみよう」と、思わせるこの力は何だろう。
このエルゼアール・ブッフィエが読み手に働きかけるという行動がジャン・ジヨノの本当の思いであったであろうし、F・バックのアニメがもつ表現をつくる真摯な態度であり、高畑監督が目指し映画制作において実行してきたことなのだろう。 generosite(ジェネロジテ)



未熟な私の所感なので、きっともっと深い思考だとは思いますが…
高畑監督の思考過程というか考え方が読みとれます。
超!お薦めの本です(o^^o)



1987年公開『柳川堀割物語』をまだ触り程度ですが確認しました。
その地に住む人びとに現実的に行える一つのヴィジョンを示し、住民が自らの手で行ない、きれいになっていくことが嬉しく気持ちいいと感じる体験が持続していく要なのだ。
ドングリの種を植えるブッフィエは、私たち一人一人であるということ。



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対談当時の高畑監督 当たり前ですがお若いですね(´艸`)
この対談、一見の価値ありますよ!



『木を植えた男を読む』で、今回出会ったジャン・ジヨノ氏 と F・バック
お二人のこと、作品を知りたいと思いました。
これからも、学び自分磨きします♪



2011年に開催された フレディック・バック展のイメージソング


ダウンロードして聴きました♪
いい歌ですね。
ここでお聴かせできないのが残念!









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出典元 https://matome.naver.jp/odai/2139497431465074201




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by sakura8sakura | 2018-05-08 11:42 | ジブリに学ぶ
2018年4月の読書
4月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:917

海うそ海うそ感想
物語と表紙の絵に、そして、読み終えた私の心に「ゆらぎ」と「きらめき」ということばが浮かんでいる。これまでの梨木さんの生涯で縁のあった土地の名の謂われなどを、葉っぱが降り積もるように重ねて書かれた『鳥と雲と薬草袋』と案内人と共にオオワシの渡りの痕跡を辿る旅、外界を辿るへの旅は自身の内界を辿る旅だったということを描いた『渡りの足跡』を基にして、ひとつの物語に昇華した作品なのだと思った。 言葉を…描写を一つ一つ、ゆっくりと脳裏に描く。巻頭にあるタツノオトシゴの形をした「遅島」の風景を感じながら物語のなかに入っていく。歩く地を踏みしめる足に感じる感触や肌に感じる空気感。そこには、梨木さんがその場に立って自らの五感、肌身に直接感じとったものを表現していた。同じ場所に、人が営む時代が積み重ねられた層があり、隔たることで変質していくものがある。人の営みに関することは消え去っても、圧倒的な山や空や海は変わらず超然としてそのまま存在している。人は立ち止まることがあるが、自然は立ち止まらない。自然の営みは、何が起こっても変わることなく変わりつづけ、あるがままを受容し循環されている。50年前、あのときの山根さんの微笑みは、すでに気づいていたのだろう。息子と一緒に海うそ見たときはっきりとわかったのだ。 たぶん、この詩のように…【 さくらふぶきの下を ふららと歩けば 一瞬 名僧のごとくにわかるのです 死こそ常態 生はいとしき蜃気楼と(茨木のり子「さくら」)】
読了日:04月07日 著者:梨木 香歩


カモメに飛ぶことを教えた猫カモメに飛ぶことを教えた猫感想
んにゃー やられた~!って思った。(いい意味でね)憐れみに寄り添う心、どうにかしたいと思う心、心が語ることば、知識だけではない感じる心、内側から湧きあがる心、が描かれている。言語、国や種の違いなんて関係ない。みんな同じ心があれば仲間だね。仲間…仲間の一人のことは、仲間みんなのこと。 歓喜しながら大空を飛ぶフォルトゥナータと、それを見守るように詩人に呟くゾルバとのラストシーンに感動・感涙。 繰りかえす秘書と大佐の掛け合いに笑える。ユニークなキャストにも、子ども心にもどって読めました♪
読了日:04月08日 著者:ルイス セプルベダ


ヘレン=ケラー [新装世界の伝記]ヘレン=ケラー [新装世界の伝記]感想
ヘレンと共感できるサリバン先生との出会いは運命だったのでしょうね!?サリバンはまず自分が心からヘレンを愛することによって、ヘレンの愛情をかちとることから始めなければならないのだと思った。そして、ヘレンが何に興味を持っているかを知り、それはどういうものかヘレンの手で触らせそれは何かを教えてあげる。指話法による文字を教えると同時に、野獣のごとき振る舞いのヘレンに人間らしい作法を教えた。まさしく体当たり、真剣勝負のような向き合い方でヘレンの心を開いていったんですね。言語で伝えることのできない大いなる壁はヘレンを苦しめた。この問題を克服するためにしたこと。手で形を触り、鼻で匂い嗅ぎ、頬や唇で感触を味わう振動を感じ、自分の身体でそれがどういうものかを認識する。サリバン先生がそれを指話法でもって言語を伝える。そうすることで言語の概念を自分の認識と一致させていく。文字を知ったヘレンは、文字を通して本から学び、言葉で考えることが出来るようになりました。与えられたものだけではなく、自分が直接感じたものの興味から次々と新しい興味へと広がっていくのです。思想も哲学も、そして、一緒に楽しむことも♪✿感動で心が震えました。これって程度こそ違え、健常者であってもあり得ることなんじゃないかと感じた。聞き取る術、伝える術、表現することが未熟なことで「理解し合えない」ということ。「術」と書いたが、努めてしようとしないことという意味をも含めてです。人と人、国と国との外交も同じじゃないかな?などと…
読了日:04月15日 著者:山主 敏子


センス・オブ・ワンダーを探して ~生命のささやきに耳を澄ます (だいわ文庫)センス・オブ・ワンダーを探して ~生命のささやきに耳を澄ます (だいわ文庫)感想
分子生命学者から文転された福岡ハカセの志がひしひしと伝わってくる。分子レベルの研究をしてきた、そこには多大な数の生命を殺めていたことへの悔恨の思いもあったのだろう。子どもの頃出会った昆虫、生物への興味が氏を支えていたのですね。これまで歩んできた道から方向転換されたのは幼き頃の自分が感じていたものに再び突き動かされたのだ。阿川さんが手帳に書きとめていた石井桃子さんの言葉を私もちゃんとしっかり覚えておこう!【子どもたちよ。子ども時代をしっかりとたのしんでください。おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは子ども時代の『あなた』です】子ども時代にいろいろなもののオーラを浴びることがその人をずっと支えていく。それがその人の「センス・オブ・ワンダー」になる。ハカセの昆虫への興味とスタビンズ君のこと、阿川さんの「かつら文庫」での体験の対話なかでキラリと光るセンス・オブ・ワンダー!阿川さんの相手の中にあるものを引き出す力も読みどころのひとつ!引き出している!!って感じを全く感じさせず、福岡氏が話したいことを自分から話し出したように引き出している。楽しく且つこれからを考える種を捲く対談です。
読了日:04月25日 著者:阿川 佐和子,福岡 伸一




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今月の読了本は4冊

永遠のともしび-トルストイの人生読本〔春〕を
毎日少しずつ読んでいます。

一月一日から三月三十一日まで
日記のように書き綴られています。

カント、キケロ、ゲーテ、ショーペンハウエル
ソクラテス、釈迦、などなど
トルストイが選り集めた言葉や
作者不明の書から取り出したものや
トルストイ自身のものもあり
数日ごとに差し込まれている
「七日目の物語」を楽しみに読んでいます!

ラメーって誰?
こんな調子ですが(( ̄∇ ̄))
言葉の力を感じています。

今、巻末を見ると
人物紹介がありました(^^ゞ

月日に拘らず
マイペースで読んでいきます♪



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4月17日に東山魁夷せとうち美術館へ行ってきました♪
これらの写真はその時の撮った桜です。

思わぬ桜との出会いに心が弾みました。
緑青々とした若葉に生命力を感じ
所々に残る桜の花に愛おしさを感じ
まだ青く小さな桜の実に
生命の喜びを感じました。



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2018年のテーマ作品展の始まりです♪

期間は4/14~5/27まで

作品展を鑑賞した記事を書きたい…と
思いつつも過ぎゆく日々

仕事がいそがしい時期になったことと
生活のペースが変わり
落ち着かない日々

焦らず気負わず
何事もマイペースで!

風薫る爽やかな五月になりましたね。
今日も朗らかに
Going my way ♪









✿✿✿

お気づきの点がございましたら 
sakura8sakura@excite.co.jp へ、よろしくお願いします。 
<(_ _ )>




ご訪問くださりありがとうございます ♪






by sakura8sakura | 2018-05-03 06:00 | 読書メーター
  

  ☆ さくら 備忘碌 ☆  ゆっくりと、マイペースで更新です。
by さくら
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